第289章

その声――たとえ灰になっても、島宮奈々未には聞き分けられる。

振り返ると、背後に島宮雪乃が胸を張って立っていた。まるで、あの頃の島宮雪乃が戻ってきたみたいに。

全身ブランドで固め、纏う空気からして金の匂いがする。

「お姉ちゃん。偶然ね。まさかあなたとは思わなかったわ」

島宮雪乃はわざとらしく目を見開き、今さら気づいたふりをした。

「お姉ちゃんも、あのハイヒール狙ってたの? 昔からあたしたち、趣味って似てるものね。目をつけるものも同じ。お姉ちゃんが欲しいもの、あたしも欲しくなるの」

言いたいのは、林川天一のことだ。島宮奈々未にはすぐ分かった。

けれど奈々未は、聞こえなかったことに...

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